日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゼンマイ胞子の葉緑体に多量に存在する24-kDaタンパクの性質
*井上 弘河村 紀江蒲池 浩之中山 耕造星名 哲
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p. 430

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抄録
ゼンマイの緑色胞子に存在する葉緑体には,サブユニットの分子量が42kDa近辺の可溶性タンパク群,膜に強く結合している24-kDaタンパク,ゆるく結合している22-kDaタンパクなどが,多量に存在している。これらのタンパクは,胞子が吸水し, 発芽が始まると消失することから推察して,乾燥状態において葉緑体を安定化するものと予想している。このうち,22-kDaについては,その全アミノ酸配列が明らかになり,LEA3ホモログらしいことが分かっている。また22-kDaタンパクを特異的に分解するプロテアーゼも休眠胞子から部分精製されている。今回,24-kDaタンパクについても,このタンパクの性質を明らかにする一環として,24-kDaタンパクをコードしているmRNAのcDNAを作成し,その全アミノ酸配列を知ることを計画した。SDS-PAGEゲルからバンドを切り出した後,V8プロテアーゼで処理し,得られた産物のN末端アミノ酸配列を調べた。その結果を利用してPCRを行い,サブクローニングした。現時点の結果として,最も相同性の高いものとして,乾燥耐性植物であるTortula ruralisで発現しているELIP early light-inducible proteinの中の一つが挙がってくる。このように,このタンパクは,一般的にはELIPのホモログと言えるが,機能的には乾燥耐性に関連するものと思われる。
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© 2004 日本植物生理学会
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