日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのCa2+透過性伸展活性化陽イオンチャネル遺伝子の単離と機能解析
*中川 祐子片桐 健篠崎 一雄戚 智岸上 明生古市 卓也辰巳 仁志曽我部 正博佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之小島 至飯田 和子池田 光伸山中 拓哉飯田 秀利
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p. 614

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抄録
 出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のMID1遺伝子はCa2+透過性伸展活性化陽イオンチャネルをコードしている。この遺伝子に変異をもつmid1変異株は、性フェロモンの作用によるCa2+流入に欠損をもつため死に至る。我々はこの変異を相補するシロイヌナズナ(Arabidopsis)のcDNAを1つ単離した。このcDNA (以下AtMID1A)はmid1変異株の低下したCa2+取込み能を顕著に上昇させた。植物における機能解析を行うため、シロイヌナズナにAtMID1Aを高発現させた。AtMID1A高発現株は矮小化し、地上部が黄化した。この高発現株の矮小化と黄化は培地のCa2+の濃度を高くすることで顕著になり、Ca2+の濃度を低くすることで回復した。エクオリンを用いてAtMID1A高発現株の細胞内Ca2+の動態を解析した。その結果、AtMID1A高発現株では野生株に比べ、低浸透圧ストレスにより細胞内Ca2+濃度が顕著に上昇した。また、この細胞内Ca2+濃度の上昇は、チャネルブロッカーやCa2+キレート剤により抑制された。さらに膜の張力を変化させるとされるトリニトロフェノールの刺激に対してもAtMID1A高発現株では野生株に比べ細胞内Ca2+濃度が顕著に上昇した。これらのことは、AtMID1Aが細胞膜の伸展によるCa2+取込みに関与している可能性を示唆する。
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© 2004 日本植物生理学会
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