抄録
植物にとって太陽光は光合成を行うための唯一のエネルギー源であるが、過剰な光環境は葉緑体内部、さらには細胞質での傷害を引き起こす原因となりうる。植物はこういった環境に対して、転写制御を含むストレス防御機構を獲得している。光ストレスに対する転写応答へ至るシグナル伝達経路としては過酸化水素に依存する経路としない経路とが存在することが明らかになりつつある。本研究では両者の関係を網羅的遺伝子発現解析により調べたのでそれについて報告したい。発現解析にはシロイヌナズナのほぼすべての遺伝子を網羅したオリゴアレイを用いて、強光下における経時変化や光量に対する応答などを比較した。