日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるIAA代謝物の定量分析および新規代謝物の検索
*甲斐 建次松田 史生若狭 暁宮川 恒
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p. 737

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抄録
 植物体内には多くのインドール-3-酢酸(IAA)の代謝物の存在が示唆されているが、その化学構造や内生量に関する情報は限られており全貌は明らかとなっていない。本研究では、シロイヌナズナに含まれるIAA代謝物を定量分析するとともに、新規代謝物の検索を行うことを目的とした。
 これまでIAA代謝物として報告されているIAAのアミノ酸抱合体(アスパラギン酸およびグルタミン酸抱合体、それぞれIAA-AspおよびIAA-Glu)とグルコース抱合体(IAA-Glc)、2-オキソインドール-3-酢酸(OxIAA)とそのアミノ酸抱合体(OxIAA-AspおよびOxIAA-Glu)を分析対象とした。IAAアミノ酸抱合体標品はIAAとそれぞれ保護アミノ酸を縮合、脱保護することにより得た。IAA-Glc抱合体標品はIAAとベンジルグルコシルイミデートから合成した。またIAAを強酸条件下で酸化してOxIAAを得、さらに保護アミノ酸と縮合後、脱保護を行いOxIAA-Asp、OxIAA-Glu標品を得た。播種後2週間のシロイヌナズナをメタノールおよび90%メタノール水溶液で順次抽出し、抽出液を濃縮後、C18固相カートリッジにて部分精製して分析に供した。上記の代謝物はいずれもLC/MS/MSのマルチリアクションモニタリングモードで高感度な検出が可能であり、それぞれ検量線を作成して植物体内の内生量を定量した。また、MS/MSの種々測定モードを組み合わせて用いることにより新規代謝物を検索したところ、数種の候補化合物を検出することができた。
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© 2005 日本植物生理学会
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