抄録
オゾン暴露によりシロイヌナズナの異なる生態型であるWsとColのオゾン耐性を比較するとWsはColに比べオゾン感受性の高い生態型であった。Wsがオゾン感受性になる原因を探るためCol-0とWsのRI系統を作成しQTL解析を行った。その結果、染色体4と5にWsのオゾン感受性に大きく関わるQTLsを同定することが出来た。そのうち染色体4のQTL近傍にはエチレン合成の律速となるACC合成酵素遺伝子(AtACS6)がコードされていた。そこでこの遺伝子のオゾンによる発現誘導、エチレン生成量を調べたところWsではオゾン遺伝子の発現誘導及びエチレン生成が顕著に見られた。ColとWsのAtACS6遺伝子のゲノム配列を比較したところ両者の塩基配列は98%の同一性を示したが、ATGの上流約800bp付近にWsにのみ特異的に見られる13bpの配列が見つかった。そこでこの配列がオゾンによるAtACS6遺伝子の発現量を決めているかどうかを検証するためWsのAtACS6プロモーターからこの配列を除いたあるいはColのAtACS6プロモーターにこの配列を導入した組換え体を作成した。その結果、レポーター遺伝子の発現量はこの配列の有無に依存して増減した。以上の結果からAtACS6プロモーター上のこの配列はオゾンによるエチレン発生量に関与しており、これがWsのオゾン感受性の一部を決めていることが示された。