抄録
生物における多くの生理応答が概日時計の制御を受けていることが、最近の研究により明らかにされている。植物では、概日時計が短期的な生理応答(葉の上下運動の日周性)ばかりではなく、長期的な生理応答(光周期依存型の花成制御)にも深く関わっていることが、ここ10年の分子遺伝学的研究により明らかにされてきた。
我々は、概日時計が複数の異なる生理応答をどのような分子機構により制御しているのかを明らかにするため、「光周期依存型の花成制御過程」と「葉の上下運動の日周性」が変化した変異体の解析を行っている。現在までに得られている知見を紹介し、「光周性花成」と「植物器官運動」における概日時計の役割について考察する。