抄録
細胞内外のイオン環境の維持は生命反応を円滑に進行させるための基本条件である。これまでに細胞内のイオン環境を検討した研究は多いが、一枚の葉の中の無機イオン分布を調べた研究は少ない。我々は、オオムギを用いた研究から、植物の成長に大量に必要とされる硝酸やカリウムは葉の基部で含有量が高く、逆に塩化物イオンは先端で含有量が高くなり、リン酸は一枚の葉を通じて一定であるというように、一枚の葉の中にはイオンによって異なる環境が存在する事を見出した。また、このイオン環境の違い(イオン勾配)が湿度や培地のイオン環境によって変化する事、組織からプロトプラストを作成する事によりイオン勾配は細胞自体のイオン濃度の違いに由来する事を確認している。
本研究では、このイオン勾配を特性蛍光X線用いた二次元解析で確認するとともに、イオン環境の違いが植物にとってどのような生理的意味を持つのかについて調べるため、二次元PAMを用いて葉の光合成活性を測定した。また、このイオン勾配がどのように形成されるのかについて調べるため、葉の各位置でのトランスポーターの発現量の比較を併せて行ったのでそれについて報告する。