日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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脂質性シグナル伝達系を介した維管束の連続性構築機構の解析
*楢本 悟史澤 進一郎小泉 好司上田 貴志中野 明彦福田 裕穂
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p. 147

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抄録
これまでにオーキシンの細胞間における極性輸送により、維管束パターンが制御されることが示されてきたが、その過程において機能する分子機構はあまり明らかではなかった。そこで我々は維管束パターンの形成機構、特に連続性構築機構の解明を目指し、葉脈の不連続性を示すシロイヌナズナの van3 変異体の解析を行っている。VAN3 は BAR, PH, ANK ドメインを持つARF (ADP ribosylation factor) -GAP (GTPase activating protein) をコードし、TGN及び細胞膜に局在する小胞輸送の制御因子であった。VAN3 の分子機能を調べるために、van3 の様々なアリルの表現型解析を行ったところ、維管束形成においてPH domainが重要な役割を果たすことが明らかとなった。VAN3 が有する PH ドメインはPI4-P と強く結合することがこれまでに明らかになっているが、興味深いことに、PI4-P の生産に関与するCVP2 の突然変異体においても葉脈の不連続性が観察される。これらの結果はPI4-P が維管束の連続性構築において重要な役割を果たすことを示唆していると考えられる。今回の発表ではこれらに加え、現在解析中である VAN3 の相互作用因子についても併せて報告し、脂質性シグナル伝達系を介した維管束の連続性構築機構に関して議論する。
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© 2007 日本植物生理学会
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