抄録
シロイヌナズナのbZIP型転写因子であるAtbZIP10はプログラム細胞死制御因子であるLSD1と細胞質で相互作用し、その機能がプログラム細胞死の制御に関わることを、我々は既に明らかにしている(1)。またAtbZIP10の核外への輸送には、Exportinとの相互作用が関与することも明らかにした(1)。AtbZIP10の核-細胞質間移行のメカニズムはAtbZIP10の機能発現に密接に関わると考えられることから、AtbZIP10の細胞内局在部位を制御する未知の因子を同定するために、酵母のツーハイブリットスクリーニングを行った。その結果、複数のAtbZIP10と相互作用するタンパク質を同定したが、その中でも微小管プラス端集積因子であるAtEB1(end-binding 1)との相互作用に注目した。AtbZIP10はシロイヌナズナの全てのEB1(AtEB1a,b,c)と相互作用し、更にAtEB1のC末端領域に存在するロイシンジッパー様領域がAtbZIP10のbZIPドメインを含まないC末端領域と特異的に結合することを明らかにした。これまでAtEB1の機能は明らかになっていないが、その局在部位から、AtbZIP10-AtEB1間の特異的な相互作用はAtbZIP10の細胞質での局在部位の制御に関与すると示唆される。(1)Kaminaka et al., EMBO J. (2006)