日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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NMRとラマン分光による重水素置換β-カロテンの基底状態と励起状態の特性のキャラクタリゼーション
*田村 広九鬼 導隆山野 由美子小山 泰
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p. 225

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抄録
古典的なカロテノイドであるβ-カロテンは植物の光合成において一重項励起状態を介してクロロフィルへそのエネルギーを伝達している。またカロテノイドの励起と緩和の過程を振動分光学的に調べるには重水素置換体の利用が有用となり得る。
NAの全トランスβ-カロテンの精製と6種類の重水素置換体 (12-d, 12,12'-d2, 14-d, 14,14'-d2, 15-d, 15,15'-d2) の合成、精製を行い、重ベンゼン溶液中で1H-1Hシフト相関スペクトル (COSY) と1H-1H NOESYを用いて共役結合部位のシグナルを帰属した。重水素に隣接した水素のシグナルは高磁場シフトした。重水素二置換体はシグナルが単純化され、重水素一置換体では異なる分裂パターンのシグナルが複雑に重なり合う傾向が見られた。これにより重水素置換が完全に行われていることが確認できた。
基底状態のラマンスペクトルでは、C-H面内変角振動がC-C伸縮振動やC=C伸縮振動とカップリングしているので、重水素化によりそれぞれの振動が低波数シフト、高波数シフトすると期待される。重水素付近でのカップリングに変化が見られてシグナルが分裂する可能性も考えられる。
現在基底状態のラマンスペクトルを測定しており、将来サブピコ秒時間分解誘導ラマン分光法を用いて重水素化β-カロテンの複数の励起状態の寿命と振動の固有スペクトルを解明するための足がかりとしたい。
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© 2007 日本植物生理学会
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