抄録
我々は水耕栽培レッドリーフレタスの品質を向上するため,夜間補光に用いる光質が葉のフラボノイド類の含量および生合成関連遺伝子の発現に及ぼす影響を調べている。フラボノイド類に所属するアントシアニン類とフラボノール類は同じ基質から生合成されることが知られている。レッドリーフレタスを栽培する際に夜間補光(青色光+UV-B)を行うと,未成熟葉におけるアントシアニン類のシアニジン含量とフラボノール類のケルセチン含量が増加することをすでに明らかにしている。そこで,フラボノール生合成酵素(FLS)の遺伝子発現解析のため,対照を夜間無補光として, UV-B,青色,赤色を夜間に照射した。FLSの発現量は赤色光下で減少し,UV-Bと青色光下で増加した。さらに,UV-Bと青色光を併用照射すると,単独照射と比べてFLSの発現量は増加することが明らかとなった。以上より,未成熟葉のフラボノールの生合成はUV-Bと青色光によって促進され,赤色光によって抑制されることが示された。本研究は平成18年度井上円了記念研究助成を得て行った。