日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アズキ芽生えの細胞成長と細胞内糖組成に対するマンノースの影響
*加藤 晶井上 雅裕
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p. 246

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抄録
以前の研究で、アズキ懸濁細胞は培地中マンノース(Man)を炭素源として利用できないが、順応したカルス細胞はManをショ糖(Suc)に変換しMan培地で生育することを報告した(Kato and Inouhe 2005)。本研究では、明暗条件下で育成したアズキ芽生えの細胞成長と細胞内糖組成に対するManの影響を調べた。
MS塩類を含む寒天培地(対照)とそれに90mMの Suc又はManを添加した寒天培地へ滅菌した種子を蒔いた。明暗所で7日間植物体を生育させ、地上部、根、子葉の重量と長さを測定し、各器官の細胞壁量と細胞内可溶性糖の分析を行った。その結果、明所と暗所の両方で、Manは根を阻害することがわかった。摩砕した組織の細胞壁分析により、Manは根の細胞壁増加を強く阻害していた。Manは対照に較べ、根の可溶性画分のSucと単糖(Glc,Fru)濃度を2.5~4.5倍増加させたが、Suc処理による各糖の増加(4.1~22倍)には及ばなかった。地上部も根と同様、Manによる細胞壁合成と成長の阻害が見られた。子葉の可溶性糖の分析から76.6~91.3%がSucであり転流糖としての働きが示唆された。
以上の結果から、Manは植物体の細胞壁合成と成長を阻害することがわかった。また、培養細胞と植物体の細胞ではMan代謝の様式が違うことも示された。
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© 2007 日本植物生理学会
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