日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ根毛細胞特異的発現SNAREの細胞内動態および機能解析
*江波 和彦植村 知博佐藤 雅彦
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p. 425

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抄録
シロイヌナズナは他のモデル生物と比較して多くのSNARE遺伝子を有しており、その中でも細胞膜局在性を示すSNAREの割合が非常に高い。このことからシロイヌナズナでは細胞膜を中心とした複雑な小胞輸送系を発達させていることが伺える。我々は細胞膜局在Qa-SNARE(PMQa-SNARE)9種類に着目し、形質転換植物の根部におけるGFP融合SNAREタンパク質の発現解析を行うことで、組織特異的発現性を持つ複数のPMQa-SNAREタンパク質の存在を明らかにした。(第47回日本植物生理学会年会)そのうちの1つであるSYP123は根毛細胞特異的発現性を示し、さらに根毛の出芽と同時にその発現が開始した。トランスポゾンタグ挿入変異株あるいはSYP123過剰発現株を用いたloss-of-function、gain-of-function解析から、主根では形態異常は見られないのに対し、根毛細胞列では根毛出芽後の伸長異常や伸長中の根毛の形態異常が観察された。また、GFP-SYP123発現株を用いたFRAP解析を行ったところ、SYP123タンパク自身の細胞内局在性が根毛の伸長に伴い変化することが明らかとなった。以上の結果は、SYP123が根毛伸長に根毛の先端成長に必要な小胞輸送経路で機能するSNAREであると同時に、小胞の極性輸送を制御している可能性を示すものである。
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© 2007 日本植物生理学会
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