日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ローリングサークル型トランスポゾンとソライロアサガオの白花変異
*星野 敦崔 丁斗朴 慶一朴 仁淑飯田 滋
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p. 544

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抄録

2001年にはじめて報告されたヘリトロンは、真核生物のローリングサークル型トランスポゾンである。他のDNA型トランスポゾンと異なり末端逆反復配列を持たず、自律性因子は複製開始タンパク質のnuclease/ligaseドメインとDNAヘリケース・ドメインを持つRep/Hel転移酵素をコードすると予測されている。さらに植物のヘリトロンは、複製タンパク質AのサブユニットであるRPA70に類似したRPA転移酵素もコードする。多くの植物ゲノム中に大量に存在するが、活性のある自律性ヘリトロンや転移機構は未解明である。
ソライロアサガオの栽培品種である”Pearly Gates”は、1940年頃に分離された白花変異「pearly-s」を持つ。このpearly-sは、アントシアニン色素生合成系のDFR遺伝子にHel-It1と命名したヘリトロンが挿入した変異であった。さらに一部のpearly-s変異体では、ミトコンドリア・リン酸輸送体遺伝子にもHel-It1が挿入していた。またHel-It1とその類縁因子はゲノム中に30コピーほど散在し、挿入位置が品種間で異なることも示唆された。Hel-It1は、Rep/Hel転移酵素とRPA転移酵素の遺伝子領域に、それぞれナンセンス変異とフレームシフト変異を持つ非自律性因子であったが、野生型のPRA転移酵素をコードすると思われるフレームシフト変異のないmRNAもpearly-s変異体には蓄積していた。以上の結果をもとにHel-It1の転移活性と、その自律性因子について議論する。

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© 2007 日本植物生理学会
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