日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シリカメソ多孔体への光合成膜タンパク質の導入とその機能
石坂 壮二*野地 智康上滝 千尋梶野 勉福嶋 喜章関藤 武士岩井 覚司伊藤 繁
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p. 618

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抄録
シリカメソ多孔体(SMM)は、内部にナノサイズの六角柱形状の細孔を持つ疎水性の物質であり、大きな内部表面積と内部体積を持っており、タンパク質のような大きな分子の吸着体として適している。これまでに、好熱性紅色光合成細菌Thermochromatium tepidumから単離した分子量129 kDaの光合成反応中心複合体(RC)と137 kDaのLH2複合体をそれぞれSMMへ導入した。SMM細孔内へ吸着したRCとLH2はその構造、光化学活性を維持しており、熱耐性も向上した。(Ref.)
今回は好熱性のシアノバクテリアThermosynechococcus (T.) elongatusから単離した光化学系I(PS I)反応中心複合体を直径23.5 nmの細孔を持つSMMへ導入した。シアノバクテリアのPSIは3量体で存在しており、分子量は1068 kDaの大きな膜タンパク質複合体である。SMM内へ吸着したPS Iの光化学活性、色素環境、タンパク質の構造は溶液中の場合とほとんど同じだった。SMMへ吸着させることで、PS IのP700の光化学活性、タンパク質の色素環境の熱耐性が向上することをそれぞれP700の過渡吸収、CDスペクトルにより確認した。PS Iの熱耐性は10℃~15℃向上した。
PS IとSMMの複合体は、太陽光エネルギーを人工利用する材料物質として可能性を秘めている。
Ref.I.Oda,Y.Shibata.T.kajino,Y.Fukushima,S.Iwai,S.Ithoh. J.Phys.Chem.B2006,110,1114-1120
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© 2007 日本植物生理学会
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