日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単細胞性紅藻Cyanidioschyzon merolaeにおける2個のオルガネラ局在型DNAポリメラーゼの解析
*森山 崇寺沢 公宏藤原 誠佐藤 直樹
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p. 755

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抄録
動物ミトコンドリアゲノムの複製はDNAポリメラーゼγ(Polγ)が行っているが、Polγは塩基配列が決定されたシロイヌナズナやC. merolae(シゾン)には存在していない。現在、植物や藻類のオルガネラゲノムの複製は、大腸菌のDNAポリメラーゼIとある程度の相同性を持つ酵素が行っていると考えられているが、まだ完全に証明されていない。シゾンの核ゲノムには、このような酵素をコードする遺伝子が2個存在する(PolA、PolB)。PolAとPolBの局在を、免疫ブロット分析およびGFP(タマネギにおいて観察)を用いて調べた結果、PolAはプラスチド、PolBはプラスチドとミトコンドリアの両方に局在することがわかった。PolA、PolB組換えタンパク質のDNA合成活性を測定した結果、PolAはddTTP、PolBはホスホノ酢酸に感受性があることがわかった。シゾン同調培養系において転写産物とタンパク質の蓄積量を調べた。その結果、PolAはほとんど変化しなかったが、PoBは周期に合わせ発現量が変化したことから、PolBがオルガネラゲノムの複製に関わることが示唆された。ホスホノ酢酸によるin vivoでの影響を調べた結果、予想とは異なり、濃度が高いほど核ゲノムに対しオルガネラゲノムの割合が増加した。これはさまざまな可能性が考えられ、更に検討が必要である。
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© 2007 日本植物生理学会
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