日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゴマ種子での貯蔵物質蓄積に関連する遺伝子群の発現解析
*小野澤 優子冨永 祐子若杉 達也増田 恭次郎山田 恭司
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p. 780

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抄録
種子で働く物質蓄積システムは、植物発生における遺伝子発現制御の理解のためのモデル系として、主にシロイヌナズナやナタネでの解析が進んでいる。本研究では、それらの種子とは異なるタイプに属するゴマ種子での物質蓄積機構を解明するために、種子に貯蔵される油脂およびタンパク質の蓄積に関わる遺伝子群の登熟過程における発現様式を解析した。(1) 油脂生合成酵素 (α-CT, BC, BCCP, KAS1, ACP, FAD2) とオレオシンの各遺伝子は、すべて開花後2~3週目にかけて一斉に高発現を示した。この時期には急激な油脂含量の増加が認められた。種子での油脂蓄積を制御する転写因子、WRI1の遺伝子発現の時期は、オレオシン遺伝子の発現時期と一致していた。このことは、WRI1がオレオシン発現の調節に密接に関係していることを暗示している。(2) 種子貯蔵タンパク質 (SSP) 遺伝子のうち、11S globulin遺伝子は2~3週目に発現レベルが上昇した後、徐々に減少したのに対し、7S globulin遺伝子は2~6週目にかけてほぼ一定の発現レベルを示した。一方、2S albumin遺伝子の発現レベルは1~3週目に発現レベルの上昇がみられ、以後、次第に低下した。SSPの蓄積を制御する転写因子 (ABI3, ABI5, L1L, bZIP12) の各遺伝子の発現様式をSSP遺伝子の場合と比較した結果、11Sおよび7S globulinの遺伝子発現制御にはABI5とABI3が関わり、2S albumin遺伝子の制御にはL1LとbZIP12が関わっている可能性が示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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