抄録
ナス科植物であるトマト(Solanum lycopersicum)は、ゲノム解読されたシロイヌナズナ(アブラナ科)と進化的に離れており、植物の多様性研究に適した材料である。我々は矮性トマトマイクロトムの完全長cDNA解析から、トマトはシロイヌナズナ遺伝子と低い相同性しか持たない遺伝子を有することを明らかにしてきた。本研究ではこれらの遺伝子の機能解明を目的として、Virus-Induced Gene Silencing(VIGS)を利用した遺伝子サイレンシング系を用いトマト植物体の表現型解析を行なった。マイクロトム果実から得られた完全長cDNAクローン情報をデータベースMiBASEおよびKaFTomより取得し、アミノ酸配列レベルでシロイヌナズナ遺伝子に対して低い相同性しか示さない(> 1e-10)85クローンを選抜した。これらの遺伝子の部分配列をtobacco rattle virus由来のVIGSベクターpYL279に挿入し、子葉にAgro-infiltrationを行なうことでVIGSを誘導した。子葉へのAgro-infiltrationによって上位の本葉・茎・花のみならず果実においてもサイレンシングが効率的に誘導された。VIGSによって植物体の形態に変化の現れる遺伝子が幾つか確認された。今後、遺伝子発現解析などを併用しこれらの遺伝子の機能同定を進める予定である。