抄録
選択的スプライシング(AS)は1種類の未成熟mRNAから2種類以上の成熟mRNAを作り出す機構である。我々はバイオインフォマティクスの手法を用いてシロイヌナズナにおけるASの解析を行い、5,000個以上の遺伝子においてASを確認した。我々は以前の研究でシロイヌナズナのASプロファイルが発現組織やストレスによって変化することを報告している。今回の研究では、スプライシング因子の一種であるSR proteinファミリーにおいて、多くのメンバーがASを受けること、および、いくつかのASがシロイヌナズナ・イネの間で保存されていることを見出した。またヒメツリガネゴケにおいても同様のASが存在することを示唆する結果を得た。これら「保存されたAS」は不完全なRNA結合ドメインを持つタンパク質をコードするmRNAを作り出す。このASにより機能可能な蛋白質の量を変化させることが、全体のAS制御に重要であると考えられる。さらに我々は、転写因子におけるASの解析を進めている。アミノ酸1個の有無を変化させるNAGNAGアクセプターサイトを用いるASが転写因子に頻出することがわかった。同様のASは蛋白質の電荷を変化させる傾向が報告されており、転写因子の機能調節に重要であることが予想される。本発表ではスプライシング因子・転写因子におけるASを介してトランスクリプトームが制御されるモデルを提唱する。