日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光受容体シアノバクテリオクロム TePixJ の再構成実験: フィコシアノビリンからフィコビオロビリンへの自己異性化活性の実証
*石塚 量見神谷 歩成川 礼猪股 勝彦池内 昌彦
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p. 0091

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抄録
我々はシアノバクテリアがもつ新しい光受容体タンパク質シアノバクテリオクロムの解析を進めている。その GAF ドメインは開環テトラピロールを結合し、可逆的な光変換を示すが、植物のフィトクロムと異なる分光特性を示す。このうち走光性の光受容体、 Thermosynechococcus elongatus PixJ の色素結合ドメイン TePixJ_GAFの研究では、これまでに His タグ融合 TePixJ_GAF を常温性シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 で発現、精製し、 433 nm と 531 nm の可逆的な光変換を示した。また、変性タンパク質の分光解析から TePixJ の発色団がフィコビオロビリン (PVB) であることを報告した。本発表では化学合成したフィコシアノビリン (PCB) とアポ TePixJ_GAF タンパク質を用いた再構成実験について報告する。両者の混合直後に 430 nm と 545 nm の間で光変換するホロ TePixJ_GAF が形成されたが、その発色団は共有結合した PCB であった。これを長時間保温すると結合した PCB は徐々に PVB に変換されたがそのホロタンパク質は 434 nm と 532 nm の間で光変換を示した。これらの結果は、 TePixJ_GAF は PCB を共有結合するが、その発色団の立体構造は歪んでおり、 GAF ドメイン自身がこの歪みを解消するために異性化を触媒することを示唆する。つまり TePixJ の GAF ドメインはリアーゼ活性、異性化活性、光変換活性を合わせ持っている新奇の GAF ドメインといえる。
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© 2008 日本植物生理学会
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