日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ細胞核のプロテオーム解析
*秋 利彦柳澤 修一
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p. 0129

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抄録
(目的)植物個体は栄養状態やストレスを感知し、最終的に遺伝子の発現を変化させることで環境変化に適応する。ゆえに細胞核はもっとも重要な細胞内オルガネラのひとつである。外部環境に応答した核内タンパク質、特に転写因子、の組成変化を包括的に解析する方法論の確立に向けて、核タンパク質のプロテオーム解析を試みているので報告する。(方法と結果)栄養成長段階にある播種後5週のイネ地上部よりパーコール密度勾配遠心法を用いて核を単離し、塩化カリウムを用いて核内容物を抽出した。イオントラップ型のnanoLC/MSを用いて解析したところ、182個のタンパク質が同定された。同定タンパク質はリボゾームタンパク質、RNAヘリガーゼ等の比較的存在量が多いと考えられるタンパク質が中心であり、DNA結合タンパク質についてはヒストンH1・H2A・H2B・H3・H4の全てが検出された一方で、転写因子等の制御因子の割合は全体の1割程度にとどまっていた。そこで転写因子の同定数の向上を目的として、1)ヘパリンカラムクロマトグラフィー、2)DNAアフィニティーカラムクロマトグラフィーによるDNA結合タンパク質の濃縮を試みている。これらの手法の有用性について議論する。
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© 2008 日本植物生理学会
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