抄録
2004年に発足したInternational SOL Project では、トマトをナス科のモデルと位置付け、そのゲノム解読プロジェクトを開始した。全ゲノム950 Mb のうち25%程度と予測されているユークロマチン領域の全解読を目標に、配列解読を進めている。かずさDNA研究所は8番染色体を担当しており、一部を野菜茶業研究所が分担している。配列解読は、BAC-by-BACの手法で進めている。2007年11月現在91 BACの解読を完了しており、9.25 Mbの非重複長が得られている。これは、8番染色体ユークロマチン領域の約50%をカバーする長さである。このBAC-by-BACに加えて、全ゲノムを対象としたショットガンシークエンスの蓄積を、末端配列に高反復配列をもたないBACを混合して作製したライブラリーを材料に進めている。これまでに120万リード、総延長860 Mbを蓄積した。Tomato Gene Indexを用いた相同性検索により、58%のunigeneを含んでいることが分かった。トマトEST配列を用いて、DNAマーカーの大規模開発を進めている。これまでに500以上のマイクロサテライトマーカーを標準遺伝地図EXPEN2000上に位置づけた。マップベースクローニング、QTLマッピングなどへの展開を視野に入れ、トマト品種間で利用可能なマーカー開発を進めている。