抄録
我々は、これまでにカルビン回路を構成する酵素であるシロイヌナズナ葉緑体型フルクト-ス-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBA)が in vitro、およびin vivo でグルタチオン化依存的な活性制御を受けることを明らかにした(松本ら、日本植物生理学会2006年大会)。
ここでは、グルタチオン化依存的な活性制御を受けるFBAはカルビン回路のアルドラーゼ反応の単なるスイッチではないことを報告する。FBAの過剰発現体とノックダウン変異体において、CO2固定量、デンプンの蓄積量はFBA量に相関していたことからFBAの反応はカルビン回路の律速段階と考えられたが、CO2濃度を2倍にいた場合、CO2同化速度は初期のRubiscoに依存した段階まで上昇した。クロロフィルあたりのRubisco量もFBA量と相関していたことを考えると、グルタチオン化されるFBAは、単なるひとつの酵素反応のスイッチではなくカルビン回路全体の制御とも深く関わっていると示唆された。