日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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扁平で左右相称的な葉の形成に関わるAS2の下流因子の探索
*岩川 秀和高橋 広夫岩崎 まゆみ小島 晶子上野 宜久池崎 仁弥小林 猛町田 泰則町田 千代子
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p. 0391

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抄録
植物の葉は茎頂メリステムから発生し、基部先端部軸、向背軸、中央側方軸に沿って成長する扁平で左右相称的な器官である。シロイヌナズナのasymmetric leaves2 (as2)とas1変異体はこの三つの軸すべてに異常を示し、葉身の左右非対称的な切れ込みや上偏成長、弱い背軸側化、基部先端部軸方向の成長抑制が認められる。これまでの解析から、AS2AS1はclass 1 KNOX遺伝子であるBP, KNAT2, KNAT6の発現を抑制していることがわかっている。AS2, AS1の下流因子を調べるためにマイクロアレイ・FussyArtを用いたクラスタリング解析を行った。その結果、BPと同様の発現パターンを示す48の候補遺伝子が得られた。AS2, AS1によって負に制御されていると考えられるこれらの遺伝子の中に、葉の背軸側因子であるETTIN (ETT), KANADI2 (KAN2), YABBY5 (YAB5)が含まれていた。これらの遺伝子のas2 bp knat2 knat6四重変異体における発現レベルは、as2でのレベルと変わらなかった。以上の結果からAS2, AS1はclass 1 KNOXとは独立に、背軸側因子であるETT, KAN2, YAB5を負に制御していると考えられる。AS2は複数の経路で、扁平で左右相称的な葉の形成に関わっていることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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