抄録
光化学系IIのD1タンパク質は、光や熱ストレスによって損傷を受ける。この損傷D1タンパク質の分解に関与しているのが、ATP依存性・亜鉛要求性の金属プロテアーゼFtsHである。FtsHは、AAA (ATPase associated with diverse cellular activities)ファミリータンパク質のひとつで、シアノバクテリアから高等植物まで広く保存されている。FtsHは、N末端側で膜を2回貫通し、ストロマ側に露出したC末端側にATP結合部位とプロテアーゼ活性部位を持つ。Synechocystis sp. PCC 6803には4つのFtsHホモログが存在する(slr1390、slr1604、sll1463、slr0228)。このうちslr0228にコードされたFtsHは、損傷D1タンパク質を分解することが知られている。しかし、損傷D1タンパク質のFtsHによる分解機構の詳細はわかっていない。
本研究では、活性を保ったFtsHを精製するために、遺伝子工学的にFtsH (slr0228)のN末端にhis-tagとFactor Xaプロテアーゼ認識部位を導入したSynechocystis sp. PCC 6803 his-tagged FtsH mutantを作成した。本発表では、Ni-NTAカラムを用いたhis-tagged FtsHの精製について報告をする。