日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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大腸菌を用いた緑色硫黄細菌 Chlorobaculum tepidum のチオ硫酸酸化酵素系サブユニット SoxA、SoxX、及びCT1020 の発現と発現産物の機能解析
*野村 怜平小川 拓郎瀬尾 悌介櫻井 英博井上 和仁
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p. 0577

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抄録
緑色硫黄細菌は鉄硫黄型の光化学反応中心を持つ絶対嫌気性光合成細菌で、硫化物やチオ硫酸塩などの硫黄化合物を電子供与体として光合成を行う。我々は、緑色硫黄細菌Chlorobaculum (旧属名Chlorobiumtepidum の細胞抽出物から、光化学反応中心複合体への直接的な電子供与体であるシトクロム c-554 の還元活性を指標に、チオ硫酸の酸化に関与する4つの蛋白質画分SoxYZ、SoxAX-CT1020、SoxB、SoxF2 を得た。このうちSoxAX-CT1020を構成するサブユニットSoxAとSoxXはそれぞれヘム蛋白質であるが、もう一つのサブユニットCT1020は特別な補欠分子団の結合モチーフを持たず機能未知の蛋白質である。遺伝子データベース検索ではCT1020のホモログは、チオ硫酸酸化能を持つ緑色硫黄細菌に限られて存在しており、他の硫黄酸化細菌ではSoxAXにCT1020は結合していない。今回、我々はCT1020がチオ硫酸酸化において必須かどうか調べるために、SoxA、SoxX、CT1020をそれぞれ単独で大腸菌内で発現させ精製した。これらの3種類の蛋白質を試験管内で混合して用いると、C. tepidumの細胞抽出物から精製したSoxAX-CT1020と同程度のチオ硫酸依存cyt c-554還元活性を示した。しかし、大腸菌で発現させたSoxAとSoxXのみを混合した場合、cyt c-554の還元活性はほとんど見られなかった。このことからCT1020は緑色硫黄細菌 C. tepidumのチオ硫酸の酸化において重要な役割を果たしていると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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