抄録
シロイヌナズナ表皮のトライコームは昆虫食害に対する構造的なバリアとして機能するが、傷害を受けた植物体はさらにトライコーム密度の高い葉を形成するようになる。これは表皮細胞がトライコームに分化する頻度の可塑的な変化であり、ジャスモン酸の生合成及びSCFCOI1複合体を介したシグナル伝達が必須である。glabrous1-2 (gl1-2) 変異体は通常の育成条件ではトライコームをほとんど形成しないが、ジャスモン酸処理によりトライコーム形成が回復する。私達はgl1-2を変異原処理し、ジャスモン酸に対するトライコーム増加応答が消失するものとしてunarmed9(urm9)を単離した。urm9はgl1-2と独立な劣性変異であり、単独変異体では正常な形態のトライコームを形成する。またurm9は花粉稔性や成長阻害などのジャスモン酸応答に関しては野生型同様であり、URM9はトライコームの密度制御に特異的に関与する新規遺伝子であると考えられた。詳細なマッピングと候補遺伝子シークエンスの結果、urm9の座乗領域に二つの塩基置換を見出した。現在、T-DNA挿入アリルとのアレリズムテスト及び遺伝子導入による相補性検定を進めており、原因遺伝子の確定を急いでいる。