日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ根の2,4-Dに対する応答を制御しているAAR3遺伝子は、DCN-1様タンパク質をコードしている。
*大野 豊Biswas Kamal Kanti宮崎 裕士清末 知宏鳴海 一成
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p. 0822

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抄録
我々はこれまで、植物ホルモン・オーキシンの作用に関わるシロイヌナズナ新奇変異体を分離するため、アンチオーキシンとして知られるPCIB(パラクロロイソ酪酸)を用いて根の伸長を指標に変異体のスクリーニングをおこなってきた。その結果、TIR1AtCUL1といったオーキシン作用に関連した既知遺伝子の変異体に加え、少なくとも3種類の新奇変異体を得ることに成功した。
その中のひとつであるaar3は、根の伸長試験において、PCIBのみならず2,4-Dにも感受性が低下した変異体であった。その原因遺伝子AAR3は、DUF298(Domain of Unknown Function 298)という機能不明のドメインを持つタンパク質をコードしていた。このタンパク質は核局在シグナルと思われる配列を持ち、プロトプラストを用いた一過的発現解析で、核に局在することが確認された。また、このタンパク質はDUF298領域を介してDCN-1(DEFFECTIVE IN CULLIN NEDDYLATION 1)タンパク質と相同性を有していた。しかし、オーキシン応答マーカーであるDR5:GUSおよびHS:AXR3NT-GUSを用いた2,4-D感受性試験では、野生型とaar3の間で明確な違いが観察されず、AAR3がこれまでに知られている作用機構とは異なる機構で2,4-Dの感受性に関与している可能性が示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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