日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのいもち病抵抗性機構における2つの低分子量Gタンパク質OsRac3及びOsRac5の機能解析
*小林 裕子鈴木 将史竹内 竜馬荒川 勉島田 真奈美宮尾 安藝雄廣近 洋彦小林 一成
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p. 0962

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抄録
我々はイネ葉鞘内腔にGFP発現イネいもち病菌を接種し、感染菌糸の伸長量を指標としていもち病抵抗性におけるOsRacの機能解析を行っている。OsRacはイネゲノムに7つのメンバーからなるサブファミリーを形成している。その中の1つであるOsRac5遺伝子にレトロトランスポゾンTos17が挿入された変異体では菌糸の拡大が日本晴に比べ有意に抑制されることをすでに報告した。この変異体にOsRac5 promoter: OsRac5 cDNAを導入した形質転換体では日本晴れと同程度に菌糸が拡大し、変異体の表現型が相補された。また、7つのOsRacの中でOsRac5と最も相同性の高いOsRac3およびOsRac5の構成活性型(CA)および優性不活性型(DN)を発現する形質転換体を作出し、いもち病抵抗性を比較検討した。この結果、OsRac5DNとOsRac3CAの発現によっていもち病抵抗性が強化された。さらに、いもち病菌を接種したOsRac5変異体、OsRac5DNおよびOsRac3CAの葉鞘細胞を詳細に観察したところ、いずれの場合も過敏感反応は認められないが,細胞側壁の貫通による隣接細胞への菌糸拡大が抑制された。以上の結果より、OsRac5はその機能欠損が、OsRac3はその活性化がいもち病菌の拡大抵抗性をイネに誘導する可能性が示唆された。この違いが何に起因するかを明らかにするため、現在2つのOsRacのGFP融合タンパク質をイネ葉鞘細胞で一過的に発現させ、その局在性を調べている。
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© 2008 日本植物生理学会
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