日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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気孔が顕著に開口したftd2変異体の原因遺伝子の同定と表現型の解析
*曽田 翠島崎 研一郎木下 俊則
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p. 0871

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抄録
植物の表皮に存在する気孔は、シグナルとして作用する青色光に応答して開口し、植物と大気間のガス交換を促進し、乾燥ストレス下では植物ホルモン・アブシジン酸(ABA)に応答して気孔を閉鎖し、植物体からの水分損失を防ぐ。
本研究では、気孔開閉のシグナル伝達の分子機構を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナにおける気孔開度変異体の単離を試みた。効率的に気孔開度を評価するスクリーニングとして、まず、ロゼット葉の蒸散による重量変動が野生株と異なる株を選抜し、次に、これらの気孔開度を実測することによって気孔開度変異体を選抜した。これまでにEMS処理した約12,000の植物体より、2株の気孔が閉じた突然変異体(std1, std2)と2株の気孔がよく開いた突然変異体(ftd1, ftd2)を単離した。std1std2は光に依存した気孔開口が抑制されていた。一方、ftd1ftd2は暗所下においても気孔が顕著に開口しており、ftd1はABA非感受性であり、ftd2はABAに対して感受性がみられた。また、ftd2は、既知の気孔開度変異体とは異なるアリルであることが明らかとなったため、マッピングによる原因遺伝子の同定を進め、第五染色体下腕領域に原因遺伝子が座乗していることが明らかとなった。ftd2変異体の表現型解析の詳細についても報告する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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