日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの浸透圧ストレスで活性化するプロテインキナーゼsubclass II SnRK2の機能解析
*溝口 昌秀梅澤 泰史中島 一雄藤田 泰成篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 0318

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抄録
近年、SNF1-related protein kinase 2(SnRK2)と呼ばれる一連のプロテインキナーゼファミリーが植物の環境ストレス応答やABAシグナル応答に重要な役割を果たしていることが明らかになった。シロイヌナズナに10個あるSnRK2はIからIIIまで3つのsubclassに分類されるが、そのうち3個のsubclass III SnRK2については、ABAシグナル伝達の全般で重要な役割をしている事が明らかになった。一方で、他のsubclass のSnRK2に関する情報は限られている。そこで、本研究では2個のsubclass II SnRK2の機能を調べるために、SRK2C/SnRK2.8とSRK2F/SnRK2.9についてT-DNA挿入変異体を単離し、2重変異体(srk2cf)を作製した。乾燥処理におけるマイクロアレイ解析によりRD29Bを含む多くの乾燥ストレス誘導性遺伝子の発現がsrk2cfで野生型に比べて減少していた。これらのsrk2cfで発現が減少した遺伝子のほとんどは、ABA誘導性に分類される。ところが、これらの遺伝子のsrk2cfにおけるABA応答性は、野生型と比較して大差がなかった。したがって、subclass II SnRK2は乾燥ストレス応答に特異的なシグナル伝達に寄与しており、ABA依存的経路における働きは限定的であることがわかった。
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© 2010 日本植物生理学会
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