日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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細胞膜におけるオーキシン受容と PIN1 局在制御を介したフィードバック機構によるシロイヌナズナ表皮細胞形態形成の制御機構の解析
*名川 信吾Xu TongdaZhang XingxingFu YingDhonukshe PankajScheres BenFriml JiriYang Zhenbiao
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p. 0740

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抄録
オーキシン極性輸送の制御機構を明らかにすることは、植物の形態形成を解析する上での最重要課題の一つである。オーキシン排出能を持つ PIN タンパク質群の極性を持った細胞内局在性が、オーキシン極性輸送の方向性の決定に貢献していると考えられているが、その極性局在の決定に関わるシグナル伝達経路に関する知見は不足している。シロイヌナズナ葉の表皮細胞は、凹凸の入り組んだジグゾーパズルのピース状の形態を持つ。我々は、オーキシンが Rho family に属する低分子量 GTPases である ROP の活性化を通じて凹凸の入り組んだ構造の形成に寄与していることを明らかにしてきた。葉の表皮細胞において PIN1 は凸部の先端に局在し、その欠損変異体では凹凸の形成に異常が生じる。また、ROP 関連変異体では PIN1 の局在に異常が生じていた。そこで、ROP を介したシグナル伝達経路が PIN1 の細胞内輸送に関与していると考え、PIN1 のエンドサイトーシス及びリサイクリング過程における ROP の寄与を検定した所、両過程への寄与を示唆する結果が得られた。それらの結果より、オーキシンによる ROP の活性化と、活性型 ROP による PIN の局在制御によりもたらされる局所的なオーキシンの蓄積が正のフィードバックループを構成し、表皮細胞の形態形成に寄与していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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