2020 年 60 巻 1 号 p. 51-57
災害時に「子どものこころのケア」を地域で円滑に行うために,「子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid (PFA) for Children)」の研修を開催することは,平時からの準備として有用であるかを検討した.2018年2月25日に三重県名張市で子どもの支援職(医師,保健師,看護師,保育士,教員,福祉職,行政など)に対してセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの「子どものためのPFA一日研修」を開催した.研修後のアンケートから,PFA一日研修には(1)参加者が対人支援における行動原則を主体的に学べる貴重な機会である(2)参加者同士の活発な対話を通して地域住民の連携が深まる(3)PFAを共通言語として緊急時に支援者が連携できる地域づくりに寄与する,という意義が認められた.地域の子どもの支援チームがPFA研修を受けることによって,災害時に子どものこころのケアに対応できることが期待できると考えられた.