抄録
不活動彗星核C/2002CE10の可視・近赤外線・中間赤外線(BVRIJHKNQバンド)での多色測光観測および分光観測を行った。解析の結果、可視太陽光反射特性では彗星核や遠方小惑星に多いD型に分類された。また熱放射の測定によってアルベドは0.02と求まり、太陽系天体の中でももっとも暗い天体であった。近赤外線のKバンドの分光結果においてH2O氷の吸収は見られず、可視の分光観測において顕著な分子輝線は検出されず、彗星コマをまとわない、これまでで活動度のもっとも小さい彗星核であった。C/2002CE10は小惑星に極めて近い性質を持つ彗星核であることがわかった。彗星と小惑星の進化とつながりを知る上で貴重な天体である。