主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第42回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 42
開催地: 仙台
開催日: 2021/12/09 - 2021/12/11
我々は、独自技術である赤外分光イメージングの研究開発に成功しており、オープンイノベーション機構による社会実装を目指している。これは、赤外分光イメージングによる新たな環境計測や診断技術の創出である。 まず、赤外分光イメージング装置とは、世界で最小最高感度の成分分布の可視化デバイスである。特に、中赤外領域(波長:10マイクロメートル近傍)は指紋領域と呼ばれて、様々な分子構造に起因した光吸収を顕著に生じる波長帯である。そのため、分光吸光度から成分を非破壊で計測することが可能である。例えば、血中グルコース濃度である非侵襲血糖値センサーの実現を目指している。 本研究により生じた特許は香川大学単独で取得してきており、JSTの支援を受けながら海外への出願も網羅的に行ってきた。この研究成果に基づいて、一昨年度、香川大学イノベーションデザイン研究所に「赤外分光イメージングコンソーシアム」を設立した。これは、オープンイノベーション機構であり、企業や公的な機関が研究成果を共有する仕組みである。既に、この中からマイクロプラスチックの弁別評価装置やガス種の弁別広域可視化、コンクリートの塩害劣化度評価などの実利用化への第一歩を踏み出すことができた。 本講演では、赤外分光イメージングの新規性や独自性について概観した後、赤外分光イメージングコンソーシアムにおいて得られた実利用化への有用性検証結果について述べる。また、医学部などとの共同研究による新たな診断技術への取り組みについても紹介する。