主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
大分大学医学部臨床薬理学講座では、開学時より臨床薬理学および治療学の卒前教育に力を入れており、大学院博士過程においても医師、薬剤師、あるいはその他の分野の研究者を対象にした卒後教育を展開してきた。90年代になって看護学科の増設にともない看護学生を対象とした臨床薬理学の卒前教育にも積極的に取り組んでいる。看護臨床、看護研究、看護教育において、臨床薬理学が重要であることは言うまでもないが、最近になって専門看護師、認定看護師、特定行為研修など、看護実務での専門教育カリキュラムの中で臨床薬理学の重要性が強調されていることは特記すべき事であろう。大分大学においては大学院修士課程とリンクした専門看護師養成が開始され、「臨床薬理学」は必須科目として扱われるようになった。新たに始まった特定行為研修も例外ではなく、その研修プログラムおいても「臨床薬理学」は極めて重要な位置付けとなっている。臨床薬理学の教育は、医師を対象としたものより、看護師を対象としたものの方がより充実したものとなりつつあるが課題も多い。もっとも深刻な問題としては、臨床薬理学教育を担当できる教員に限りがあることがある。幸いなことに大分大学には医学部臨床薬理学講座に複数の教員が配置され、附属病院臨床薬理センター(診療科に相当する施設)、総合臨床研究センター(AROに相当する施設)にも臨床薬理を専門とする複数の医師、薬剤師、看護師、CRCなどが配置されているが、それでも人員的な余裕はなく教員の負担は非常に大きい。私見であるが、今後は複数の大学が連携して教育プラットフォームを共通化した上で、それを共同で運営するなどの工夫が必要かと思う。専門看護領域での臨床薬理学は、まだ始まったばかりであるが、今後確実に発展していくものと思われる。日本臨床薬理学会も学会としてその重要性を認識しておく必要がある。