日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-S41-2
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シンポジウム
ヒト全タンパク質に対する結合親和性を考慮した医薬品化合物の薬理作用予測
*山西 芳裕
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抄録

医薬品開発において、化合物とタンパク質の結合親和性を定量的に評価することは非常に重要であり、ドッキングシミュレーションと機械学習は重要な役割を果たす。ドッキングシミュレーションには実験的に決定されたタンパク質の立体構造情報が必要であるが、現在立体構造データが利用可能なタンパク質はヒトゲノムにコードされている全タンパク質の一部に過ぎない。近年、AI技術の進歩とともにタンパク質立体構造の予測技術が大幅に向上してきている。なかでもニューラルネットワーク技術を取り入れたAlphaFold v2.0(以下AlphaFold2)は、X線結晶構造解析など実験的に決定したタンパク質立体構造と遜色ない精度を持つ。本研究では、AlphaFold2を活用してヒトゲノムにコードされている全タンパク質の立体構造情報に基づき、医薬品化合物の薬効や副作用予測を行う手法を提案する。まずAlphaFold2で予測したヒト全タンパク質(約20,000タンパク質配列)の立体構造データをAlphaFold Protein Structure Databaseより取得した。医薬品化合物に対してヒト全タンパク質立体構造とのドッキングシミュレーションを行い、それらの結合親和性プロファイルを作成し、様々な疾患に対する薬効や副作用を予測する機械学習モデルを構築した。提案手法は高性能の予測だけではなく、薬効や副作用の作用機序の考察を可能にした。提案手法は、医薬品開発に有用であることが期待できる。

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