主催: 日本臨床薬理学会
【目的】
非臨床研究中核病院 (非中核病院) は臨床研究中核病院 (中核病院) に比べ支援体制が整っていない施設が多く、研究の質を向上させるためには中核病院との連携が重要である。しかし、非中核病院が中核病院にどのような支援を希望しているか明らかでなく、連携を推進する上での課題となっている。我々はAMED令和4年度研究開発推進ネットワーク事業で、非中核病院が中核病院に希望する支援内容や実際の連携状況について調査を行った。本発表ではどのような支援を中核病院に希望しているか、実務支援と支援システムという2つの側面から調査した。
【方法】
非中核病院131施設を対象にアンケートを実施し、中核病院から支援を受けた経験の有無、中核病院に希望する支援職種や支援体制や連携に関する要望等を調査した。希望する実務支援及び支援システムは、支援を受けた経験の有無で分けて検討した。さらに、複数の変数間の関連を2次元で図示する多重対応分析も用いて検討した。
【結果・考察】
アンケートの回答率は83.2% (109/131施設) であった。そのうち過去3年間で中核病院から支援を受けた経験のある施設は22% (24施設) であった。
中核病院に希望する実務支援は、支援を受けた経験の有無に関わらず「監査業務」が最も多かった (経験あり:79.1%、経験無し:71.8%)。2番目に多かったのは、支援を受けた経験のある施設では「プロジェクトマネージャー・スタディーマネージャー業務」 (75.0%) 、支援を受けた経験のない施設では「モニター業務」 (70.6%) であった。
中核病院に希望する支援システムは「新しい支援体制の構築」「人材交流」「研修実施」「相談システムの構築」「支援内容の透明化」「支援費用の明確化」の6カテゴリーに分類され、支援を受けた経験の有無に関わらず「人材交流」、「相談システムの構築」、「新しい支援体制の構築」を望む声が多かった。多重対応分析の結果、支援を受けた経験のある施設では「人材交流」や「研修実施」、支援を受けた経験のない施設では「新しい支援体制の構築」や「支援内容の透明化」を望む意見との関連がみられた。
【結論】
非中核病院が中核病院に期待する実務支援や支援システムが明らかになり、中核・非中核間の支援を円滑に進めるための課題が抽出された。中核・非中核双方の視点で環境整備を進めることで、スムーズな連携が行われ、質の高い臨床研究の推進が期待される。