主催: 日本臨床薬理学会
脳卒中は本邦の死因の第4位、介護を要する疾患の第2位を占め、有病者数は約300万人と推測される国民病である。早期診断・治療により脳の永久的なダメージを軽減できるため、近年の脳卒中診療は主に発症から数時間以内の超急性期治療に重点が置かれている。過去には多数の臨床試験がアカデミア主導で実施され、脳卒中急性期治療のエビデンスが蓄積されてきた。その一方で脳卒中急性期は、一刻一秒を争う緊急性の高い状況下での治療が求められため、臨床試験の実施やエビデンスの創出には非常に多くの困難を伴っている。本発表では、脳卒中急性期の診療に従事してきた臨床医が、脳卒中急性期臨床試験の運営に関わる立場に至った経緯についてお話し、アカデミアの脳卒中臨床試験運営で直面した種々の課題と、それらに対処し、臨床試験の推進するために試みた取り組みについて述べたい。