主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 11-
【目的】サラゾスルファピリジンは、潰瘍性大腸炎などの治療薬として広く使用されているが、薬疹の発症が問題になっている。我々はヒト白血球抗原(HLA)のアリル(HLA-A*11:01、B*39:01およびB*56:03)が薬疹の発症リスクに関連することを明らかにしたが、HLA以外のゲノムバイオマーカーとの関連の有無は不明である。そこで本研究では薬物動態(PK)に影響を与えることが明らかな遺伝型に基づくPK-phenome解析を用いて、サラゾスルファピリジン誘発薬疹の発症リスクに関連するPK関連ゲノムバイオマーカーを同定することを目的とした。 【方法】サラゾスルファピリジンによる薬疹患者15人と日本人一般集団967人のPK関連14遺伝子とHLAの4遺伝子をターゲットNGSパネルcorePGseqを用いてジェノタイピングした。同定されたSNV、Indel、CNV情報を用い、PK関連14遺伝子の酵素活性を推定し、表現型を決定した。これらのPK関連遺伝子の表現型とHLAアリルを用い関連解析を行った。N-アセチルトランスフェラーゼ2 (NAT2)の各アリル(*4、*5、*6、*7)の組み換えタンパク質を発現させ、サラゾスルファピリジンの代謝物であるスルファピリジンからN-アセチル体への代謝における各アリルの活性を比較した。 【結果・考察】薬疹患者15人のPK関連14遺伝子の表現型を用いたPK-phenome解析を行ったところ、NAT2の表現型が薬疹の発症リスクと関連を示した(P=4.57×10-3、オッズ比=3.0)。また、HLA-A*11:01(P=2.9×10-4、オッズ比=7.2)、HLA-B*39:01(P=2.8×10-5、オッズ比=12.5)、HLA-B*56:03(P=5.6×10-5、オッズ比=77.4)の独立した関連が再現された。スルファピリジンからN-アセチル体への代謝固有クリアランスを比較したところ、正常型のNAT2*4と比較して変異型のNAT2*5、NAT2*6、NAT2*7は4.7~13.8倍低い値を示し、推定したNAT2表現型の確からしさを確認した。 【結論】PK-phenome解析によって同定されたNAT2の表現型とHLAアリル情報を組み合わせた遺伝子検査により、サラゾスルファピリジンの薬疹発症リスクの予測精度を向上させることが可能であった。