2001 年 10 巻 3 号 p. 403-408
慢性閉塞性肺疾患患者の上肢運動能力評価のために非支持かつ動的な上肢漸増運動負荷試験(UIULXT)を作成し,その再現性と妥当性を検証した.対象は健常豪州人24人,再現性の検討はUIULXTを3回繰り返し測定し,妥当性の検討は自転車エルゴメータを用いた上肢漸増運動負荷試験(SIULXT)と比較した.3回目のUIULXTで上肢の主観的運動強度,息切れ感,運動継続時間,呼吸循環反応はきわめて高い再現性を認めた.SIULXTの呼吸循環反応はUIULXTに比べて有意に高値を示したが,UIULXTはSIULXTに比べて換気効率が悪く,上肢筋RPEおよび息切れ感は差を認めなかった.また,UIULXTとSIULXTの各指標は良好な正の相関関係を示し一定の妥当性が確認されたが,息切れ感や1回換気量は上肢運動負荷テストのタイプによる特異性も認められた.