日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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10 巻, 3 号
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特別講演
  • 栗山 喬之
    原稿種別: 特別講演
    2001 年10 巻3 号 p. 305-313
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    肺高血圧症の治療には血行力学的指標に加え,組織低酸素症への配慮が重要である.混合静脈血酸素分圧は,高所環境,呼吸・循環不全への生体反応を評価するうえで動脈血酸素分圧より普遍的な価値を有する.酸素瀑布の観点からは,混合静脈血酸素分圧を上昇させるため,酸素吸入とともに,ヘモグロビン量,心拍出量,酸素消費量を適正に管理することが重要であり,今後,呼吸管理が高度医療技術を駆使したものになるであろうことが示唆された.

シンポジウム2
ランチョンセミナー3
  • 仲本 敦, 斎藤 厚
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2001 年10 巻3 号 p. 342-347
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    人工呼吸管理中の患者に発症する院内肺炎はventilator-associated pneumonia (VAP) と総称される.人工呼吸管理症例の約10%に合併し,その予後は通常の院内肺炎と比べてもきわめて不良である.VAP発症危険因子の評価と解決により発症を予防し,また定期的な胸部X線検査やVAPを示唆する臨床所見の出現に常に留意し,早期発見と起炎菌の検出に基づく適切な抗生剤治療に努めねばならない.

ミニレビュー
  • 田中 一正
    原稿種別: ミニレビュー
    2001 年10 巻3 号 p. 348-351
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    術前呼吸理学療法は,術後に適切な換気量が獲得できるよう呼吸法の習得に努め,術前の患者教育が重要である.早期離床を含む胸腹部手術に伴う呼吸リハビリテーションは術後肺合併症を予防し,入院期間を短縮するうえで有効な手段である.プログラムされた呼吸リハビリテーションはCOPDに負けず,肺結核後遺症に対しても有益である.LVRSの適応決定上,呼吸リハビリテーションの徹底的援用が必須であり,呼吸リハビリテーションにおける高度の技量を有するチームワークの達成が必要である.

原著
  • 大池 貴行, 濱崎 広子, 栗田 健介, 勝野 久美子, 力富 直人, 千住 秀明, 門司 和彦
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 352-355
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患患者の下肢筋力が移動動作能力,運動耐容能(歩行能力)に影響を及ぼすことを明確にすることを目的に,重回帰分析を用いて下肢筋力と質問票による移動動作能力評価,運動耐容能の関連性を検討した.移動動作能力の影響因子は6分間歩行距離テストによる最大歩行距離(6MWD),6MWDへの影響因子は%FEV1.0と膝伸展筋力であった.今回の結果から下肢筋力は運動耐容能を介し,移動動作能力に影響することが推察された.

  • ―サウンドスペクトログラムを用いて―
    西村 敏弘, 白木 博文, 足立 仁志, 佐藤 千紗, 中野 博
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 356-360
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    当院入院中の重症心身障害児3症例8件に対し,排痰を目的とした呼吸介助手技を実施し,その効果を客観的に評価する試みとして,排痰前後での呼吸音計測を行った.<br> 排痰前後での聴診上の呼吸音の変化はサウンドスペクトログラム上でも確認され,時間軸拡大波形として解析することで,音の変化の成因が推測できた.<br> また,呼吸音サウンドスペクトログラムは,呼吸モニタリングにも応用可能と思われた.

  • 土居 洋子, 鈴木 幸子, 田中 登美, 木村 謙太郎, 和田 素子, 古田 久美子, 佐々木 久江
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 361-365
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    呼吸不全にいたっていない慢性呼吸器疾患患者100名を対象に,日常生活活動レベルをFEV1を用いて3群に分け,心理社会的状況を検討した.3群間において,ADL (p<0.05),生きがい感VAS (p<0.06),Sup-N (p<0.05), SRQ-D (p<0.05) には分散分析により有意差があった.日常生活活動のレベルの低い群には生きがい感や家族以外からのサポートが低く,抑うつの傾向のあることが示唆された.職業を持たない人々が多く,独居者は1割程度同率にあった.

  • 大島 美紀, 溝岡 雅文, 平岩 健太郎, 桑原 正樹, 板垣 衛治, 永井 晃, 中郷 吉二郎, 森尾 隆義, 陸門 靖
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 366-369
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    生口島において,平成12年3月までに在宅酸素療法(HOT)を行った症例は58例,男女比は約2:1,導入時平均年齢は75歳,平均HOT期間は26ヵ月であった.重度のⅠ型呼吸不全症例が多く,Ⅱ型呼吸不全症例に対する使用が少なかった.基礎疾患は最多がCOPD,2位が肺癌,3位が陳旧性肺結核であり,肺癌の頻度が年々増加していた.新規HOT導入率は3.9人/年/万人と低いが,年々増加している.

  • ―本邦2例目の両側生体肺葉移植術における経験―
    松尾 善美, 井上 悟, 南 正人, 三好 新一郎, 松田 暉, 川合 宏, 丸山 宗治
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 370-375
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    本邦2例目の両側生体肺葉移植術前後における理学療法を施行した.術前の慢性呼吸不全の急速な進行のために呼吸筋,四肢筋力の低下が著しく,術後の無気肺の改善と離床には長時間を要した.<br> しかし,術後6ヵ月時には努力肺活量が2,460cc(対標準62%),1秒率97%,最大換気量は予測値の88%まで改善した.理学療法士は生体肺葉移植患者に対して術前より介入し,術後は離床,呼吸機能の改善,さらに運動の継続により新しい機能水準に順応させるために重要な役割を担う必要があると考えられた.

  • 浜瀬 さゆり, 安藤 守秀, 早川 美和子, 岡澤 光芝, 榊原 博樹, 才藤 栄一
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 376-380
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    藤田保健衛生大学病院に入院中の間質性肺炎患者に対し,呼吸リハビリテーションを試みた.対象8例のうち2例は死亡および病状悪化のための訓練が完遂できなかった.残り6例についても経過中原疾患の進行に伴い,血液ガスや肺機能の悪化がみられたが,ADL・QOLについては訓練後に改善がみられた.十分なモニタリング下のADLを主体としたトレーニングは,こうした患者を再び在宅生活へ近づける可能性を持つと思われた.

  • 山本 理真子, 中村 晶子, 小山 昌三, 大森 千春, 斎藤 修, 村上 正人, 馬島 徹, 赤柴 恒人, 堀江 孝至
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 381-385
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    HOT患者を対象とした日帰り旅行において,初回とその後の参加時に施行したTEGを比較検討したところ,自由で活動的,物事を楽しむFCの上昇がみられた.患者の旅行参加が心理的変化の主要因であると結論づけることは困難であったが,旅行を楽しめたことや旅行への参加が1つのきっかけとなり,FCが上昇し,QOL,特に心理社会的側面の向上に対する一要因として影響した可能性が考えられた.

  • 平口 信子, 虫明 佐百合, 岩田 和子, 石原 英樹, 木村 謙太郎, 黒田 和子, 小崎 洋子
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 386-390
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    テレビ電話を用いた在宅管理システムを開発し,臨床に用いた.ついで,このシステムの有用性を検討した.医療者は,自宅にいる患者の状態や周辺環境を目で確認し指導することができ,患者においては,自宅にいながら,迅速にトラブルや不安を解消することができた.そして,患者間の通信を可能にすることで,患者や家族の精神的慰安に効果がみられた等,テレビ電話システムを用いたHMV患者指導の有用性を確認できた.

  • 三浦 留美子, 田中 一徳, 小林 充, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 本間 光信, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 391-397
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    外来での呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)プログラムに参加した在宅酸素療法(以下HOT)実施中の慢性呼吸不全患者14名に対し2度の自宅訪問を実施し,呼吸リハの継続状況を調査した.呼吸リハプログラムは,呼吸方法(腹式・口すぼめ),筋力(上・下肢,ならびに呼吸筋)トレーニング,歩行訓練からなる.自宅訪問時には,実施状況,訓練方法の理解,必要性の理解について評価し,未実施項目については再指導を家族とともに行った.その結果,呼吸方法に比べて筋力トレーニングの実施率は有意に低かった.<br> また,呼吸リハの方法の理解度ならびに必要性の理解も,筋力トレーニングでは呼吸方法に比べ有意に低かった.2度目の訪問時にはいずれの項目でも実施率が上昇したことから,自宅における訓練継続の意識づけならびに適切な指導の重要性が示唆された.

  • ―急性期導入に際して―
    辻村 康彦, 荻原 圭三, 平松 哲夫, 松本 修一
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 398-402
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    急性期NPPV導入における理学療法士の役割は多岐にわたるが,その中でも特徴的な役割は,呼吸介助手技の実施によるNPPVと自発呼吸のミスマッチの減少,トリガーエラーの改善および呼吸仕事量の軽減である.またほかに,精神不安の緩和などの効果を認め,結果としてNPPV導入をスムーズにし,その成功率を高めることを可能とした.このように理学療法士の関与は呼吸管理の質を高めると考えられるが,今後,多くの理学療法士が積極的関与に基づく結果を出し,さらに検討していくことが重要である.

  • 高橋 哲也, Sue Jenkins, Geoff Strauss, Carol Watson, Fiona Lake
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 403-408
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患患者の上肢運動能力評価のために非支持かつ動的な上肢漸増運動負荷試験(UIULXT)を作成し,その再現性と妥当性を検証した.対象は健常豪州人24人,再現性の検討はUIULXTを3回繰り返し測定し,妥当性の検討は自転車エルゴメータを用いた上肢漸増運動負荷試験(SIULXT)と比較した.3回目のUIULXTで上肢の主観的運動強度,息切れ感,運動継続時間,呼吸循環反応はきわめて高い再現性を認めた.SIULXTの呼吸循環反応はUIULXTに比べて有意に高値を示したが,UIULXTはSIULXTに比べて換気効率が悪く,上肢筋RPEおよび息切れ感は差を認めなかった.また,UIULXTとSIULXTの各指標は良好な正の相関関係を示し一定の妥当性が確認されたが,息切れ感や1回換気量は上肢運動負荷テストのタイプによる特異性も認められた.

  • 岸川 禮子, 池田 東吾, 岩永 知秋, 藤瀬 茂, 高橋 直嗣, 犬塚 悟, 上田 仁, 野上 裕子, 中野 博, 横田 欣児, 本広 昭 ...
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 409-416
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    重症の慢性呼吸不全例22例に対して1日6時間以上,長期にBilevel PAP療法を施行した.開始時期のPCO2は平均88 Torrから安定時に67 Torrへ,pH 7.31から7.37へ有意に改善した.本療法中止の気管切開・長期人工呼吸器装着例に比較して継続例ではADLが保持できた.終末期に近い慢性に高度の炭酸ガス血症例の治療や緩和治療として有用である.

  • 山本 真
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 417-421
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    ALSの長期人工呼吸管理の症例に対し,1回換気量15 mℓ/kgでの管理を行った.その結果,無気肺の発生がなくなり,無気肺の基盤とする難治性の呼吸器感染症が抑制しえた.本方法で管理を行うことにより,患者の状態が安定し,在宅呼吸管理への移行が容易となった.肺線維症による脱落例が1例あったが,圧損傷の発生はみられなかった.期間中,死亡例の発生はなく,HVV継続9例中8例が在宅呼吸管理に移行した.

  • 長谷川 智子, 竹田 千佐子, 月田 佳寿美, 石崎 武志
    原稿種別: 原著
    2001 年10 巻3 号 p. 422-426
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(HOT)患者56名と主たる介護者33名を対象に実態調査を行った結果,「HOT患者のquality of life(QOL)の指標であるCRQの中では支配感の領域が高かった」,「30%以上の患者がHOT利用に際し,人目を感じていた」,「介護者の負担度は低く,患者をもっと助けたい,患者がもっと外出できればよいと思っている介護者が多い」などの現状が明らかとなり,今後のサポートのあり方に関する示唆を得た.

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