2005 年 14 巻 3 号 p. 478-481
吸入ステロイド薬が気管支喘息治療の第一選択薬であることは周知の事実である.プロピオン酸フルチカゾン(FP)には二つのデバイスがあり,平成10年にディスクヘラー(DH)が,また平成14年にはディスカス(DK)が発売された.DKはDHに比べ吸入器の抵抗を少なくした設計のため,弱い吸入速度でも吸入が可能となった.今回,両者を用いて3通りの吸入速度(弱い:30 L/min, 普通:60 L/min, 強い:90 L/min)による器具内の薬剤の残量,うがい液の回収量および口腔内付着量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定し,その値から推定肺内到達率を計算した.結果,DHでは弱いで8%,普通で18%,強いで22%であり,DKではそれぞれ31%,23%,31%と,弱い吸入でもDHに比べて推定肺内到達率は高いことがわかった.DKは吸入指導を簡略化しても臨床的に十分な効果が出やすく,本来の喘息指導に多くの時間をかけることが可能であると考えられた.