平成16年10月23日夕刻発生した新潟県中越地震は震度7の強震に加え,その後断続的に大きな余震が多数続き被害が甚大となった.在宅酸素療法患者(以下HOT患者)をフォローする酸素供給会社はただちに緊急体制を布き,患者の安否確認を行うとともに,その状況に応じた酸素ボンベのすみやかな供給および関係先への連絡を実施した.大規模な災害の場合,現地は通常の機能を果たすのが困難な状態に陥るため,近隣からの速やかかつ組織的な応援協力体制が必要になる.われわれは,阪神・淡路大震災を契機に災害発生時の初動,指揮命令系統,酸素供給機器の備蓄方法等について組織を挙げて取り組んできた.本稿では新潟県中越地震における緊急対応,特にHOT患者への対応と今後の課題について,酸素供給業者の立場から報告する.