重症肺炎に起因するARDS症例に対して腹臥位に代わって前傾側臥位による体位管理を行い,安全かつ効果的に肺酸素化能の改善を得ることができた.適応となる下側肺障害のパターンによっては本症例のように前傾側臥位が効果的である場合もあり,腹臥位に代わる体位管理として試みる価値があるものと思われた.
ALI/ARDSに対する呼吸ケアにおいて,腹臥位管理は酸素化改善のための手段として有効であり,特にその簡便性,低コストは大きな利点である.しかし,本法の適応は限られたものであり,ルーチンかつ漠然と実施することは慎むべきである考える.