日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
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ISSN-L : 1881-7319
15 巻, 4 号
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シンポジウムⅠ
  • 谷口 博之, 神津 玲
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 457
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • ―気管支喘息,COPDを中心に―
    石原 英樹
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 458-460
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    近年,NPPVの導入が急性期に有効との知見が増えており,慢性呼吸不全の急性憎悪時や,挿管下人工呼吸からのウィーニング,気管支喘息重責発作,ある種の急性呼吸不全等に用いられ,その有用性が指摘され,適応が拡大されている.しかし,NPPVはすべての患者に有効ということではない.急性期の換気補助療法としては,導入の容易さと簡便性,患者に対する侵襲度の低さからは,まずNPPVが選択されるべきであるが,誤嚥がある場合,分泌物喀出が困難なため気道確保がまず必要である場合などは,IPPVが望ましい.

  • ―腹臥位に代わって前傾側臥位による体位管理を適用したARDSの1例―
    神津 玲, 朝井 政治, 俵 祐一, 中野 豊, 鋤崎 利貴, 千住 秀明
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 461-465
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    重症肺炎に起因するARDS症例に対して腹臥位に代わって前傾側臥位による体位管理を行い,安全かつ効果的に肺酸素化能の改善を得ることができた.適応となる下側肺障害のパターンによっては本症例のように前傾側臥位が効果的である場合もあり,腹臥位に代わる体位管理として試みる価値があるものと思われた.

    ALI/ARDSに対する呼吸ケアにおいて,腹臥位管理は酸素化改善のための手段として有効であり,特にその簡便性,低コストは大きな利点である.しかし,本法の適応は限られたものであり,ルーチンかつ漠然と実施することは慎むべきである考える.

  • 山下 康次
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 466-472
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    近年,手術手技や周術期管理の進歩により手術適応が拡大される傾向にあり,呼吸管理の一つとして周術期にリハビリテーションも実施されるようになってきた.周術期におけるリハビリテーションは術後呼吸器合併症の予防を目的とし,徒手的介助手技や体位変換を含めた呼吸理学療法や早期離床の促進などを行うが,術後は病態を理解しリスクと利益を検討したうえでリハビリテーションを展開する必要がある.

  • 渡邉 文子, 小川 智也, 有薗 信一, 谷口 博之, 近藤 康博, 木村 智樹, 西山 理, 加藤 景介
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 473-476
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリプログラムのなかで,運動療法は必須不可欠な項目であり,運動耐容能の改善やQOL(Quality of Life)の改善を目指している.しかしながら呼吸機能障害が高度な症例においては,運動療法の導入および遂行が困難な場合も多い.近年,慢性呼吸不全患者に非侵襲的陽圧換気法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)が応用されているが,運動療法との関連では,運動療法中の換気補助目的にNPPVを装着する場合と,運動中ではなく夜間にNPPVを使う場合がある.今回,呼吸リハビリにおいて運動療法を行っていくうえでNPPVの併用について自験例を提示する.

  • 石川 悠加, 三浦 利彦
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 477-481
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    神経筋疾患においては,急性呼吸不全に対する気管内挿管や術後に抜管困難や人工呼吸器からの離脱困難が問題になる.

    本例は,普段は慢性肺胞低換気症状を訴えることなく,インフルエンザによる急性呼吸不全憎悪となり,近医にて気管内挿管により救命後,抜管困難症となり,気管切開人工呼吸(tracheostomy intermittent positive pressure ventilation: TIPPV)が行われた.さらに,TIPPVから非侵襲的換気療法(noninvasive positibe pressure ventilation: NPPV)への移行を希望され,その適応を判断した.咳の能力が低下して,自力排痰が困難なため,NPPVで気道を通して換気するためには,徒手や器械による咳介助を要した.母に徒手による咳介助を指導し,在宅睡眠時NPPV療法へ移行した.

    神経筋疾患において,気道クリアランスのテクニックと睡眠時から終日までのNVVPを活用し,気管切開と窒息を回避することができる.その可能性と安全性を高めるための非侵襲的呼吸ケアシステムの充実が望まれる.

  • ―住み慣れた家で暮らすということ―
    亀井 三博
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 482-484
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性疾患のケアが病院から在宅へシフトしていくなか,急性期から慢性期へのスムーズな移行,言い換えれば家の暮らしをイメージしたケアが急性期初期から行われ,在宅ケア担当者と病院ケア担当者の連携が早期から行われていることがその成功の鍵である.症例を通じて在宅呼吸ケアの意味を考える.

シンポジウムⅡ
シンポジウムⅢ
  • 宮城 征四郎, 木村 謙太郎
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 511-512
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 木村 謙太郎
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 513
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 近藤 康博, 岩木 舞, 加藤 景介, 西山 理, 木村 智樹, 谷口 博之
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 514-519
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(HOT)の適応基準は,高度慢性呼吸不全例の対象患者において,動脈血酸素分圧が 55 Torr以下のもの,および 60 Torr 以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者であって,医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者とされる.しかしながら,わが国の全国調査によると,PaO2が 60 Torr以上でHOTが導入された,いわゆる“適応外症例”は1/3以上に及んでいる.このような対象におけるHOTの意義についてはまだまだ不明な点が多い.今後,疾患ごとのHOTの効果と適応基準について,その意義と限界を医療経済的な側面も踏まえ多方面から検討する必要があろう.

  • 町田 和子
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 520-528
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    HOT機器とリスクマネジメントについて検討した.リスクは,機器の作動停止,加湿器のリーク,回路の屈曲閉塞,停電および液化酸素接続部凍結による酸素の不供給,災害など多岐に及んだ.リスク対応には,患者を中心とした医療機関,酸素業者の連携が欠かせない.HOT開始時の患者教育と日常点検,緊急時におけるHOT業者の迅速な対応が重要である.災害時には地域連携に基づく特別な対応を必要とする.また,病状の悪化は常に念頭におかねばならない.

  • 篠山 重威
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 529-534
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    Cheyne-Stokes呼吸を伴う中枢型無呼吸症候群はしばしば収縮機能障害を伴う重症心不全でみられ,心機能を憎悪させる大きな原因となっている.われわれは長期の夜間在宅酸素療法が睡眠時無呼吸と心不全の改善にどのような影響を与えるかを多施設共同試験で評価した.12週間の臨床試験でHOTは心不全患者の生活の質を改善し,医療費の節減に寄与することが示され,本治療の慢性心不全の新しい非薬物療法としての展開が期待される.

  • ―在宅呼吸ケア白書より―
    植木 純
    原稿種別: シンポジウム
    2006 年 15 巻 4 号 p. 535-539
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(HOT)の上位5疾患はCOPD 48%,肺結核後遺症18%,肺線維症等15%,肺がん5%,びまん性汎細気管支炎2%で,約10年前の全国調査に比してCOPDが増加し約半数を占めるにいたった.HOT施行患者,HOTおよび在宅人工呼吸療法(HOT+HMV)施行患者の平均年齢は71.4歳,73.5歳と高齢化を示している.6年以上の実施者がそれぞれ41%,49%を占め,HOT,HOT+HMV施行患者の予後が改善しつつあることも推測される.設置型酸素供給装置の使用内訳では,酸素濃縮器が94%,液体酸素が6%で,米国のHOT患者とほぼ同様の割合であった(Medicare),患者サイドからは自己管理能力,セルフモニタリング技術の向上への指導が強く要望されていた.特に「療養生活についてもっと教えてほしいこと」の上位3項目はすべて呼吸リハビリテーションに関連する内容である.災害・故障など緊急時の業者の対応についての説明,保守管理体制についての説明に関してもさらに徹底される必要があることが明らかとなった.

イブニングセミナーⅡ
イブニングセミナーⅢ
イブニングセミナーⅤ
原著
  • 松本 友子, 田中 貴子, 松木 八重, 北川 知佳, 千住 秀明
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 612-616
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸器疾患患者のADL評価法として用いられている千住らのADL評価表が,信頼性の高い評価であるかを検討することを目的に,慢性呼吸器疾患患者33名に対しADL評価を行った.再検査・認定者間の評価を行うため対象には初回評価後に2回の評価を行い,3回の評価を完遂できたのは28名であった.その結果α係数は0.95と高い内的整合性が示され,再検査法では0.97,評定者間の信頼性の検討では0.96といずれも高い級内相関係数が得られた.このことから千住らのADL評価表は信頼性の高い評価表であると示唆された.

  • 渡邊 暢, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 藤井 清佳, 加賀谷 斉, 斉藤 公子, 伽羅谷 千加子, 渡部 郁子, ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 617-622
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーション(リハビリ)を継続実施している安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者22名を分岐鎖アミノ酸(BCAA)強化栄養剤摂取群(摂取群)と非摂取群に分け,摂取群と非摂取群で,アミノ酸分析,体重,BMI,呼吸機能,大腿四頭筋筋力,6分間歩行距離試験(6MWT)について比較検討した.その結果,摂取群では,BCAA,ヘモグロビン,呼吸筋力,大腿四頭筋筋力,運動耐容能が有意に改善された.非摂取群では,各評価項目に有意な変化はみられなかった.以上の成績から呼吸リハビリとBCAA強化栄養剤の併用は,呼吸筋力,大腿四頭筋筋力,運動耐容能の改善に有効である可能性が示唆された.

  • 井上 登太, 鈴木 典子, 出口 裕道, 伊藤 秀隆, 高橋 猛, 泉 唯史
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 623-628
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    三重県における呼吸リハビリテーションの効率的な啓蒙を目的に,主要医療施設に対してアンケートを施行した.

    その結果,1) 県内全体の低導入率,特に外来呼吸リハビリテーションの低実施率,2) 運動療法マニュアルの認識の低さ,3) 問題認識項目・施行困難な原因項目が職種間で大きく異なること,4) 人口密度に一致した地域普及格差,5) チーム医療におき理学療法士・看護師にかたより薬剤師・栄養士の参加が少ない,などの問題点が明らかとなった.

  • 糸長 由希子, 土居 洋子, 竹川 幸恵
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 629-634
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    長期在宅酸素療法(long-term domiciliary oxygen therapy: 以下LTOT)を行っている独居患者が体験する困難とその対処の実態について明らかにすることを目的に質的研究を行った.独居LTOT患者は身体的,心理社会的側面においてさまざまな困難を体験し,困難への対処を行いながら療養生活を継続していた.看護者は,自己管理の支援,労作の工夫への指導,社会資源の利用への情報提供,不安への対応等を行う必要性が示唆された.

  • 今戸 美奈子, 土居 洋子, 池田 由紀, 森路 芳子, 近藤 勝美, 石原 英樹
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 635-640
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    長期在宅酸素療法(long-term domiciliary oxygen therapy: LTOT)の導入が予期されているCOPD患者が抱くLTOTに対する感情を明らかにすることを目的とした.64~83歳のCOPD患者14名に面接を行い,その内容を質的に検討した.結果,11の否定的感情のカテゴリーと1の肯定的感情のカテゴリーを抽出し,LTOT導入前から患者の感情を理解してかかわる必要性が示唆された.

  • ―平成16年新潟豪雨・中越地震の経験から―
    谷内田 容子, 佐藤 英夫, 岩島 明, 河辺 昌哲, 本間 ひろ子, 神保 恵子, 中山 秀章, 下条 文武, 長谷川 隆志, 鈴木 栄一
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 641-645
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    新潟県中越地域では平成16年度に,河川氾濫を伴う水害と最大震度7の大地震を経験した.災害時の在宅酸素療法(HOT)患者の安否確認,避難状況・HOT機器の対処や酸素プロバイダーとの連携について当時のカルテ・連絡資料と患者からの聞き取り調査を行い検討した.患者の安否確認は主にプロバイダーによる電話または直接訪問で行われた.多数のHOT患者が近隣の学校やコミュニティーセンターへ避難しており,避難先へのボンベ追加・濃縮器仮設で避難時を乗り切っていた.大規模災害時には避難先で酸素供給が継続できるようにプロバイダー・訪問看護等との連絡体制を確保し意思疎通を図ることが重要であった.安否確認連絡は,被災・避難患者の孤立感の軽減に有効であった.

  • 佐々木 満, 本名 敦夫, 小川 浩正, 北室 知巳, 飛田 渉
    原稿種別: 原著
    2006 年 15 巻 4 号 p. 646-652
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の内科的療法としてcontinuous positive airway pressure (CPAP) が第一選択とされているが,アドヒーランスは必ずしも高くない.デマンド型電気刺激装置により睡眠中の無呼吸発生時にオトガイ下を経皮的に電気刺激すると,無呼吸が解除され睡眠構築も改善することが報告されている.この方法は無呼吸を検出するための口鼻気流のモニターが必要である.また,一度閉塞した上気道を再び開けるために刺激閾値を高くする必要があるなどの問題点があった.今回,無呼吸とは無関係に固定した刺激時間のオン,オフを繰り返しながらオトガイ下を電気刺激するマニュアル型オトガイ下電気刺激装置を開発し,臨床応用を試みた.あらかじめ診断されたOSAS患者11名に対し,ポリソムノグラフィー下に最適な治療電流値を決定する電気刺激タイトレーションを行い,固定された刺激条件で睡眠中にオトガイ下を電気刺激し,その効果を検討した.無呼吸指数,総無呼吸時間および総無呼吸低呼吸時間の総睡眠時間に対する割合,酸素飽和度90%以下の時間の総睡眠時間に対する割合および覚醒指数が有意に減少した.問題となる副作用も認めなかった.マニュアル型オトガイ下電気刺激装置は,OSASの内科的治療法の選択肢の一つになりうると思われた.

総説
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