神経筋疾患においては,急性呼吸不全に対する気管内挿管や術後に抜管困難や人工呼吸器からの離脱困難が問題になる.
本例は,普段は慢性肺胞低換気症状を訴えることなく,インフルエンザによる急性呼吸不全憎悪となり,近医にて気管内挿管により救命後,抜管困難症となり,気管切開人工呼吸(tracheostomy intermittent positive pressure ventilation: TIPPV)が行われた.さらに,TIPPVから非侵襲的換気療法(noninvasive positibe pressure ventilation: NPPV)への移行を希望され,その適応を判断した.咳の能力が低下して,自力排痰が困難なため,NPPVで気道を通して換気するためには,徒手や器械による咳介助を要した.母に徒手による咳介助を指導し,在宅睡眠時NPPV療法へ移行した.
神経筋疾患において,気道クリアランスのテクニックと睡眠時から終日までのNVVPを活用し,気管切開と窒息を回避することができる.その可能性と安全性を高めるための非侵襲的呼吸ケアシステムの充実が望まれる.
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