抄録
複十字病院のある北多摩北部は在宅呼吸ケアに関しての受け皿が不足しているため,慢性呼吸不全患者のケアは,在宅を含め最期まで当院で対応することがほとんどである.当院の訪問看護師が,1999年から2009年までの10年間,114名の慢性呼吸不全患者に対して在宅酸素療法や急性憎悪への対応についての指導を中心とする在宅呼吸ケアを行ったが,訪問看護開始後急性憎悪による入院日数が有意に減少した.地域連携の充実がなかなか進まないわが国の現状を考慮に入れると,現時点では当院で行っている自己完結型の呼吸ケアも高齢の慢性呼吸不全患者に適合した形態と考える.