終末期の呼吸管理は,(1)薬物療法に加えて長期酸素療法(long-term oxygen therapy, LTOT)や長期非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV)が必要となってくる時期(いわゆる終末期),(2)LTOTや長期NPPVを用いても呼吸状態を維持できなくなる時期(最終末期)に分けて考える必要がある.
長期NPPV症例のいわゆる終末期の呼吸管理には,急性増悪を生じた場合にNPPVまでにするのか挿管人工呼吸に踏み切るのか等の重大な選択肢がある.また,徐々に呼吸不全が進行し最終末期にいたった場合には,NPPVまでにするか気管切開下人工呼吸に踏み切るのかを選択する必要が生じる.最終末期においては患者・家族を中心に最終末期ケア・緩和ケアの内容を選択していく必要がある.その実現のためにも患者・家族と医療者間のコミュニケーションが重要である.今後,日本においても,呼吸管理に関する事前指示(advance directive)が,患者・家族によりなされるような環境をつくっていく必要がある.
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