日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
包括的尺度で評価した肺結核後遺症患者の健康関連quality of life
山中 悠紀石川 朗奥野 裕佳子浦辺 幸夫金子 弘美大平 峰子
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 22 巻 1 号 p. 125-129

詳細
抄録

肺結核後遺症患者24例(75.8±6.5歳)の健康関連QOL(HRQOL)を包括的尺度であるSF-36を用いて評価し,国民標準値および慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者24例(75.5±5.0歳)と比較するとともに,HRQOLと栄養状態,呼吸機能,運動機能,ADLの関連性をCOPD患者との比較から検討した.その結果,肺結核後遺症患者では国民標準値と比較して7つの下位尺度に有意な低下を認め,多様な側面でのHRQOL障害の実態が示されるとともに, COPD患者と比較して日常役割機能に関連した2つの下位尺度が低値を示す特徴が明らかとなった.また,COPD患者ではSF-36の下位尺度と栄養状態,呼吸機能,運動機能,ADLに有意な相関を認めたが,肺結核後遺症患者では運動機能と一部の呼吸機能にのみ有意な相関を認め,HRQOL障害に影響する因子がCOPD患者より複雑である可能性が推察された.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top