抄録
慢性呼吸不全患者への在宅呼吸ケアの必要性に関しての認識は高まっているものの,実際の在宅現場ではどの程度呼吸ケアが行われているのか把握するために,川崎市の訪問看護ステーションにアンケート調査を行った.呼吸器疾患ではHOT50.6%に対し,NPPV10%と非常に低く,呼吸リハに関しては本来,全例で行われているべきであるが44.7%しか施行されておらず,その担い手の70.1%が訪問看護師であった.この結果からも病院内でも呼吸ケアが積極的になされていない印象をもった.この地域で慢性呼吸不全患者様に標準的な呼吸ケアを受けてもらうために,小さな在宅療養支援診療所から,訪問看護師,病院看護師,病院リハビリスタッフ,ケアマネージャーに対し,個々の症例からの実践的なアプローチ,病院へのfeedbackを通して,かつ呼吸ケアの講演会の開催により,呼吸ケアネットワークが広がりつつある.